針葉樹は薪に使える?使えない?

「針葉樹は燃やしてもいいんですか?」とか「針葉樹も燃やせるストーブはどれですか?」と質問を良く頂きます。
ストーブ導入前の方も、すでにストーブをお持ちの方でも気になる疑問ですよね。

「広葉樹」と「針葉樹」ってなに?

広葉樹は硬く重たい木(ブナ・ナラ・クリなど)

木材をおおまかに分類すると、「広葉樹」と「針葉樹」に分けられます。
「広葉樹」というのは、文字通り葉っぱが大きく広がっている木で、「針葉樹」は葉っぱが細く尖っている木です。

みなさんが知っている広葉樹といえば、どんぐりの木(ブナ・ナラ・クリ)や、サクラなどでしょうか?
基本、紅葉して落葉する木は広葉樹。
(中には広葉樹でも落葉せず冬も葉っぱがついているものもありますが、それは常緑樹の広葉樹です)

成長が比較的遅く、硬く重たい木が多いのが特徴です。

針葉樹は柔らかく軽い木(スギ・ヒノキ・マツなど)

続いて針葉樹ですが、スギ、ヒノキ、マツが代表的ですね。
建築材料として使用することが多いものなので、日常的になじみがある樹種ではないでしょうか?

針葉樹は基本、落葉せず年中緑色の葉っぱをしています。
成長は比較的早く、やわらかく軽い木が多いのが特徴です。

このように、日本の山にはいろんな木が生えているんです。

針葉樹はストーブに使えるの?

ここからが本題です。
一般的に薪ストーブに適している薪は「広葉樹」だと言われています。
なので、薪ストーブ屋さんでは広葉樹の薪を主に取り扱っていて、reccaでメインで販売している薪も広葉樹です。
これにはきちんとした理由があって、理由は後ほど!

日本では「針葉樹をストーブで燃やしてはいけない」など、ネガティブな言葉をよく聞きます。

ですが、これは間違いです!
針葉樹、燃やしてもOKです!
全然使えます!何なら余裕で使えます!reccaのボスも普通に使ってます!

では、何でそんな間違った話になったのでしょうか?

広葉樹と針葉樹、違いは燃えやすさと温度

広葉樹と針葉樹は、燃え方が違います。

広葉樹は成長が遅く固く重い、密度の高い木です。
燃やそうとしても燃えにくく、長時間かけて燃えます。
燃焼温度は800℃くらいまで上がることもありますが、緩やかに温度が上がっていきます。

そして針葉樹。針葉樹は成長が早く柔らかく軽い、密度の低い木です。
空気を多く含むため火がつきやすく、一気に燃えます。
燃焼温度は1000℃を超えることもあり、一気に燃えると急激に温度が上昇します。

広葉樹と針葉樹は、燃えやすさと温度が全然違うんです。

薪ストーブは急激な温度変化に弱い

薪ストーブは鉄製品のため、急激な温度変化には弱い傾向にあります。

昔、学校で習ったかと思いますが、鉄は熱膨張を起こしますよね?
急激な温度変化は、ストーブ本体に歪みを生じさせることがあります。

また、鉄は1000℃を超えると急激に耐力を失い、1200℃まで上がると変形をし始めます。
急激な温度変化と極度の高温は、鉄製品である薪ストーブを痛めてしまいます。

使い方に気をつければ針葉樹を焚いても問題はない

薪ストーブをの温度計はストーブ側面や、天板に取付しているかと思いますが、あくまでもそれは「本体表面の温度」であり「炉内の温度」ではありません。

薪ストーブ炉内の熱が本体を暖めて温度計に反映されるので、
炉内の気体や鉄板や鋳鉄の中を熱が移動して放熱されるまで、時差が生じます。

薪ストーブを使っていると、薪が燃え尽きそうになっても、表面温度があまり高くなってないという現象が起こることがあります。
そうすると、「あれ?まだ温度上がってないし、火も消えそうだから薪をくべちゃえ!」「早く暖まってほしいから少し多めに入れちゃえ!」と考え薪をくべてしまいがちです。

こうなってしまうと、実は炉内はそこそこ高温になっていたのに更に薪をくべ、炉内が1000℃以上になってしまい、知らず知らず本体を痛めて、最終的にストーブが壊れるということになってしまいます。

これは、針葉樹であろうが広葉樹であろうが、一緒です!
広葉樹でも針葉樹でも、使い方に気をつければ薪として使うことができます。

ちなみに、世界ではほぼ針葉樹しか生えない地域もあります。シベリア・アラスカなどの寒冷地域で、日本より寒く、薪ストーブが無いと死んでしまうような世界。
そんな国でも使われている薪ストーブが、針葉樹を使ってはダメなわけがないです。

大切なのは適正温度と薪をくべるタイミング

薪ストーブを長く大切に使うためには適正温度と薪をくべるタイミングには気を配らなくてはいけません。
特に、針葉樹は早く燃えて燃焼温度も高いので、注意が必要ということなんです。
扱いを間違えるとストーブが壊れることになりやすいので、針葉樹が敬遠されるようになったのだと思います。

このように、広葉樹の方が長く燃えて温度コントロールをしやすいので、ストーブ屋さんは広葉樹を売っています。
しかし、きちんと特性を知って手順を守れば針葉樹だって薪として使えます。
広葉樹しか燃やしてなくても、くべる量や温度管理を間違えばストーブは壊れます。

重要なのはくべる量と空気調節。
YouTubeで「最速焚き付け!」とか出てますけど、真似してはいけません。
いきなり大量に焚くのではなく、少量からじわじわ温度を上げていくようにしましょう。
これさえ守れば、針葉樹も怖くない!

焚き方は、設置時にしっかりとレクチャーさせていただきます。
また不安なことは、どんどん質問してください!
上手に焚けるようになるまでは、何度か練習が必要ですが、必ず慣れてきます。
そうすると、針葉樹も広葉樹もうまく特性を見極めて燃やせるようになりますよ。